建設業の労災66%は手指が原因|データでみる事故の実態と対策 – DK-WORKS お知らせ

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建設業の労災66%は手指が原因|データでみる事故の実態と対策

現場で長年働いてきたベテランでも、ふとした瞬間に手指をやられてしまう——そんな話を、あなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。重い資材を持ち上げた瞬間、複数人で資材を移動させているとき、機械のそばで作業しているとき。手指は常に骨折や切断といった重大なリスクにさらされています。

実は、この「手指の怪我」は感覚的な話ではなく、データで裏付けられた深刻な問題です。厚生労働省の統計をひもとくと、その実態がはっきりと見えてきます。

なぜ今、手指の労働災害が問題なの

令和4年度の労働災害・死傷者数の全体像

1988年から2022年までの業種別労働災害推移グラフ。令和4年度は132,355人と増加傾向。

厚生労働省の調査によると、令和4年度における休業4日以上の死傷者数は132,355人(前年比1,769人増)となり、過去10年間で最多を記録しました。

増加の背景には、生産年齢人口の減少による一人あたりの作業負荷の増大、労働時間の短縮による工程の詰め込み、外国人労働者の活用拡大による作業習熟度のばらつきといった、現代の現場が抱える構造的な問題があります。「昔より現場は安全になった」という感覚とは裏腹に、労働災害の件数は増加傾向にあるのが現実です。

疾病部位の中で「手・指」が最多という現実

では、労働災害で最も多く負傷する部位はどこでしょうか。答えは「手・指」です。

厚生労働省・職場のあんぜんサイトのデータが示すように、労働災害の疾病部位として手と指が占める割合は突出して高く、全身の中で最も事故が集中する部位となっています。

考えてみれば当然かもしれません。掴む・持ち上げる・運ぶ・操作する・作業する——現場で行うあらゆる動作に手指が関わります。それだけリスクにさらされる機会も多いのです。

建設業における手指災害の深刻な実態

建設業のはさまれ・巻き込まれ事故の内訳

建設業と製造業における労働災害の部位別・型別内訳グラフ。指と手の損傷が66%を占める。

建設業における労働災害の中でも、特に注目すべき事故の型が「はさまれ・巻き込まれ」「切れ・こすれ」です。厚生労働省・職場のあんぜんサイトのデータ(建設業・令和2年度、休業4日以上)によると、これらの事故の疾病部位は以下のとおりです。

疾病部位 割合
59%
7%
指+手(合計) 66%
その他 34%
災害全件数 712件
出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト(建設業・令和2年度)

指だけで59%・手と合わせると66%というデータの意味

「はさまれ・巻き込まれ・切れ・こすれ」という事故全体の3件に2件は、手か指の怪我である——この数字が意味することを、改めて考えてみてください。

建設現場で起きるこれらの事故のほとんどは、足でも胴体でもなく、「手指」に集中しているのです。頭部や胴体の怪我は致命傷につながりやすいためヘルメットや安全帯(フルハーネス)の着用が義務化されていますが、手指の保護については「作業手袋を着けていれば十分」という認識で止まっているケースが少なくありません。

しかし、データは明確に警告しています。手指への保護は、現場安全管理における最優先課題のひとつなのです。

製造業との比較で見えてくるリスクの特性

建設業だけでなく、製造業においても「はさまれ・巻き込まれ」という事故型は事故全体の3分の1以上を占めています。また、製造業における「はさまれ・巻き込まれ」の死亡者数は合計141人(2019年)にのぼり、全事故型の中で最多となっています(出典:厚生労働省「死亡災害報告」)。

業種を問わず、「重いものを扱う」「機械のそばで作業する」「複数人で資材を移動させる」といった現場では、手指の挟まれリスクが常に存在しています。

データまとめ

  • ・令和4年度 休業4日以上の死傷者数:132,355人(過去10年で最多)
  • ・建設業 はさまれ系事故の疾病部位:指59% + 手7% = 合計66%
  • ・製造業でもはさまれ・巻き込まれが事故全体の1/3以上
  • ・出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト・厚生労働省WEBサイト

なぜ建設現場では手指の挟まれ事故が起きやすいのか

重量物・資材の取り扱いが多い作業環境

建設現場では、コンクリートブロック・鋼材・足場部材・配管資材など、日常的に重量物を扱います。これらの資材は一つひとつが数kg〜数十kgに及ぶものも多く、少しでも手の位置がずれると指が挟まれる可能性があります。

特に危険なのが、資材を「置く」「積む」「立てかける」といった動作の瞬間です。重量物が勢いよく倒れたり、予想外の方向に滑ったりしたとき、とっさに手で支えようとすることで挟まれ事故が発生するケースが多く報告されています。

慌ただしい工程・複数人での協調作業の危険性

建設現場は工期というタイムプレッシャーの中で動いています。「今日中に終わらせなければならない」という状況では、作業者の注意力が低下しやすく、普段なら気をつけられる動作でミスが生じることがあります。

また、複数人での協調作業では「相手が支えてくれている」「次の動作はこうなるはず」という思い込みが事故を招くことがあります。息の合ったベテランチームであっても、タイミングのズレひとつで指が資材の間に入ってしまうのが、挟まれ事故の怖さです。

「手袋をしているから大丈夫」という過信の落とし穴

現場では多くの作業者が何らかの作業手袋を着用しています。しかし、一般的な作業手袋はグリップ力や耐摩耗性を高める目的で作られており、「圧迫や挟まれに対する保護機能」を持つものはほとんどありません。

手袋をしているという安心感が、かえってリスク管理への注意を鈍らせてしまうこともあります。「手袋をしていたのに、指を骨折した」という事例は、決して珍しくないのです。

手指の労災がもたらす現場へのダメージ

負傷した作業者・マンパワー損失の問題

手指の怪我は、一見すると「軽傷で済む」ように思われがちです。しかし、指の骨折や切断は回復に数ヶ月を要することもあり、その間は現場に戻ることができません。

建設業・製造業において重量物を運搬する様々な作業に従事する担い手の確保は、年々難しくなっています。ひとりの熟練作業者が長期離脱すれば、その穴を埋めるために残った作業者への負荷が集中し、さらなる事故リスクを生む悪循環につながります。

生産年齢人口の減少と労働力確保の課題

日本の生産年齢人口の減少推移グラフ。2050年には15歳から64歳の人口が5,275万人に減少し、2021年比で29.2%減となる総務省の推計データ。

日本全体で15〜64歳の年齢を指す生産年齢人口の減少が続いています。加えて、労働時間の短縮や外国人労働者が日本で出稼ぎすることの魅力の低下により、建設・製造業での働き手の確保はますます難しくなっています。

こうした状況の中で、貴重な人材を手指の怪我で失うことは、現場にとっても企業にとっても大きな損失です。「労災を減らす」ことは、単なる安全管理の問題ではなく、企業の持続可能な経営に直結する課題でもあります。

安全管理担当者が「未然防止」にこだわる理由

労働災害が発生すると、被災した作業者の治療・補償、行政への報告、再発防止策の策定、場合によっては工事の一時停止など、現場に多大な影響が生じます。また、企業の社会的信用への影響も無視できません。

だからこそ、安全管理担当者は「起きてから対処する」のではなく、「起きる前に防ぐ」ことに最大限の力を注ぐ必要があります。そのための具体的な手段のひとつが、保護具(PPE)の適切な選定です。

手指の挟まれリスクを軽減するために現場でできること

リスクアセスメントと作業手順の見直し

まず取り組むべきは、現場でのリスクアセスメントです。「どの作業で」「どのような状況で」手指の挟まれリスクが高まるかを洗い出し、作業手順書に反映させることが基本となります。具体的には次のような観点でチェックを行うことが推奨されます。

チェックポイント

  • ・重量物の運搬・設置作業で手の位置が危険にならないか
  • ・複数人での協調作業でコミュニケーション不足になっていないか
  • ・機械・設備のそばでの作業で巻き込まれリスクはないか
  • ・作業スペースが狭く、手指が挟まれやすい環境になっていないか

保護具(PPE)の選定が事故防止をサポートする

リスクアセスメントと並行して重要なのが、適切な保護具の選定です。安全帯・ヘルメット・安全靴と同様に、手袋も「その現場のリスクに対応した性能を持つもの」を選ぶ必要があります。保護具の選定においては、以下の点を確認しましょう。

チェックポイント

  • ・単なるグリップ力・耐摩耗性だけでなく、耐圧性能(挟まれに対する保護機能)があるか
  • ・作業性を損なわない重量・フィット感か
  • ・耐久性があり、長期使用に耐えられるか
  • ・試験データや第三者機関による証明があるか

    一般的な作業手袋では防ぎきれない圧迫・挟まれへの対応

    繰り返しになりますが、市場に流通している一般的な作業手袋の多くは、圧迫や挟まれに対する保護機能を備えていません。グリップ力が高くても、耐摩耗性に優れていても、重量物が指に落下・倒れ込んだ際の衝撃を受け止める構造にはなっていないのです。

    「手袋をしていれば安全」ではなく、「その手袋が、その現場のリスクに対応しているか」という視点で保護具を選ぶことが、現場の安全管理を一段引き上げることにつながります。

    耐圧グローブ「PRESS GUARD」という選択肢

    こうした課題に正面から向き合い、開発されたのが耐圧グローブ「PRESS GUARD」(特許第7065167号)です。四国電力株式会社との共同研究をもとに、香川県の縫製工場・株式会社ダイコープロダクトが製品化しました。

    インナー片手に14枚の耐圧板を配置し、最大荷重400kgの試験においても約4mmの変形に抑えるという試験結果(香川県産業技術センターによる試験)を持っています。ヘルメット・フルハーネス・安全靴に次ぐ「第四の安全保護具®」として、建設・製造・運輸・林業など幅広い現場への導入が進んでいます。

    型番 タイプ 主な特徴 こんな現場に
    PG-300 ナイロンジャージ グリップ力・軽量・スタンダード 建設・運輸・一般作業
    PG-310 ケブラーニット 耐切創・難燃・ハイパフォーマンス 熱源のある現場や鉄骨など危険な作業現場
    PG-320 牛革 耐切創・難燃・耐摩耗・操作性重視 指先操作性を重視したい多様なリスクがある現場

    アウター交換式の構造により、表地が摩耗しても内部のインナーをそのまま使い続けられるため、ランニングコストの軽減にもつながります。現場の手指リスクを軽減する保護具の選択肢として、ぜひ一度ご検討ください。

    現場に合った手袋が見つからない方へ|別注オーダー

    作業現場は似たような作業であっても、手袋に求める性能は千差万別です。DK.WORKSは香川県の縫製工場として、素材と形の組み合わせを自由にカスタムできる「別注オーダー」に対応しています。標準ラインナップでは対応しきれない現場のニーズにも、企画段階からサポートします。

    アレンジ例

    • ・NT-200(難燃・耐熱)をベースに色と総丈を変更 → キャンプ用グローブとして作成
    • ・TB-001(突き刺し防止)の甲側にも突き刺し防止機能を付与 → 動物捕獲用グローブとして作成
    • ・WP-100(防寒・防水)をベースに仕様変更 → 鉄道会社の保守点検員向け作業グローブとして作成
    • ・DK.WORKSの製造技術と素材に着目 → 「シリコーンレザー」を使用した液体が浸透しにくい不浸透性保護手袋を開発
    • ・TB-001の突き刺し防止性能をさらに強化 → 牛革製の突き刺し防止ミトンを作成

    まとめ:手指の保護を現場の新しいスタンダードに

    建設現場における手指の労災は、企業の持続可能な経営を揺るがす深刻な課題です 。「手袋をしていれば安全」という常識を疑い 、現場のリスクアセスメントに基づいた「挟まれリスクに対応した保護具」 を選ぶことが、大切な人材を事故から守る第一歩となります。

    この記事のポイントまとめ

    • ・令和4年度の休業4日以上の死傷者数は132,355人と過去10年で最多(厚生労働省調べ)
    • ・労働災害の疾病部位で最も多いのは「手・指」
    • ・建設業のはさまれ・巻き込まれ・切れ・こすれ事故の疾病部位は、指59%・手7%で合計66%(厚生労働省 職場のあんぜんサイト、建設業・令和2年度)
    • ・手指の労災は現場のマンパワー損失・企業の信用失墜につながる深刻な問題
    • ・「手袋をしていれば安全」ではなく、「挟まれリスクに対応した保護具の選定」が重要
    • ・耐圧性能を持つ保護具の導入が、事故防止をサポートする具体的な手段のひとつ