
開発に至る背景

① 四国電力株式会社での出来事
四国電力では発電設備の安全性確保は基より、工事現場の作業安全にも注力しており、関連施設の建設・保全作業においても、労働災害の防止に努めておられました。
その中で、作業員が手指を挟み込む災害については、防護性能と作業性を兼ね備えた適当な作業用手袋が存在しないことから、注意喚起などのソフト面の対策に終始しており、安全保護具などのハード面の対策ができないことが課題となっていました。
このような指に係る作業災害が全国で後を絶たない状況に目を付けたのが、これまでにも、作業災害の防止につながるアイデアを考え続けてきた四国電力土木建築部の武井さん。高い安全性と指先の感覚や使用性を損なわない、従来の常識を覆す手袋はできないものか、そんな手袋があれば、当社関連工事での災害防止はもとより、全国の労働災害の削減にも繋がるのではないか。作業安全への思いは、一瞬のひらめきで形になったようです。硬い金属を指の動きに沿うように手袋に縫い付ける。安全性と使用性を両立するこのアイデアで特許取得を目指しました。


② 四国電力と当社の出会い
地元の企業と開発したい。安全手袋の開発が世界有数の手袋の産地・香川県における手袋産業の更なる発展にも寄与できるのではないか。こうした思いで、地元の手袋メーカーに当たる中、作業用手袋の開発を得意とし、これまでにも数々の独自商品を手掛け技術力を磨いてきた当社にお声がけいただきました。

早速、武井さんの手袋開発への思いを基に、製品化できないか打診いただいたのですが、そこで見せられたのが市販品を改良して武井さんが手作りで作成したサンプルでした。
構造はよく理解できたのですが、どうやってそれを製品化にするべきか全くイメージが湧かない中での手探り状態のスタートでした。ただ、安全性と作業性を両立する手袋の製品化を実現できるのは弊社しかないという強い覚悟が芽生えた不思議な瞬間でもありました。

③ 紆余曲折の商品開発
商品開発は、耐圧板と手袋本体の二つに分けて進めるようにしました。
耐圧板については板の材質や厚さを数種類分けて試作をつくり、耐圧性の確認や錆のテスト、重量など様々な方向で検証を進めました。また、形状においても作業を妨げず、かつ着脱しやすい形状の追求を進めました。角の丸さや手袋への固定方法など細部にわたって微調整しました。
手袋の方は耐圧板をどうやって取り付けるのかが、商品開発の大きなテーマでした。先に耐圧板をつけてしまった方が生産の流れとしてはよくなるのですが、それだと板が邪魔をして縫製ができません。縫製した後耐圧板を取り付ける流れでも検証しましたが、それも無理。ということで、部分的に縫製した後耐圧板をつけ、続きを縫製するという方法で何とか活路を見出しました。
指先の操作性や摩擦耐久性の向上、表地交換式といったこだわりポイントを次々と加え、約1年半をかけて現在の仕様の商品にたどり着くことができました。

カッターナイフでカットできるやや硬い素材を使って、金属板の試作を作成する前に形状の確認を行いました。
- ① 耐圧板は正しい位置に配置されていることを確認して使用してください。
- ② 商品はアウターとインナーを正しくセットした状態でご使用ください。
- ③ 体質によっては皮膚に異常が出る可能性がございます。異常を感じたらすぐにご使用をおやめください。
- ④ 衝撃を受けた場合はご使用をおやめください。
- ⑤ 回転工具など巻き込まれる恐れがある作業時には使用しないようにしてください。
- ⑥ 汚れが激しい場合は水またはぬるま湯で手洗いした後脱水し、手を突っ込むなどしてしっかりしわを伸ばして原形回復した後陰干ししてください。濡れたまま放置しないようにしてください。
- ⑦ 挟み込み災害から完全に防護することを保証したものではありません。